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ジャーナリストから転身 40代妻子持ちが自由に生きてみた

連載⑪40代妻子持ちが脱サラ生活へ  古物商の許認可取得

脱サラの救世主「メルカリ」

妻がメルカリでの販売実績を順調に伸ばす傍ら、無職の僕が出品する「男のガラクタ」はちっとも売れずにいた。

 

これは、昔見た韓国映画牛の鈴音」のワンシーンに酷似している。

 

僕はいま、愛情の深さゆえに老いた牛を二束三文で手放せずにいるお爺さんと同じ気持ちだ。

 

どうしても、少年時代を彩るお宝(=ガラクタ)への愛着が邪魔をして、値下げに踏み切れずにいたのだ。

 

最初のうちは「いいね」こそ調子よく増えたものの、商品説明を「ぶっきらぼうなスタイル」に改め、そのまま放置しておくと、そのうち誰も見向きもしなくなった

 

逆に僕は、「ディスクシステム」だの「超合金」だのを買い漁り、妻がストレスを溜め込む羽目に。

 

初志の方向性から大きく外れて、メルカリにハマる僕。

 

「ミイラとりがミイラになる」とはこのことだ。

 

家計を圧迫する愚かな旦那の存在は、もはや一家にとってお荷物に違いない。

 

 

腰を上げる「大黒柱」 中古転売に乗り出す

 

ついに妻は家計のリスク管理として、「副業(メルカリ)に本腰を入れる」などと言い出した。

 

売れそうな品物をリサイクルショップなどで調達して転売する、いわゆる「せどり」というやつだ。

 

ただし、メルカリでもヤフオクでも、あるいは独自のホームページだろうが何だろうが、不用品の提供ではなく「中古品の転売」を目的とする場合、「古物商」の資格が要るそうだ。

 

もよりの警察に届け出ると、想像以上に簡単に許認可がもらえるようだった。

 

届け出に必要な書類は

 

①誓約書

②身分証明書(免許証等)

③インターネット上で開業する店舗のURL

④略歴書

⑤住民票

⑥登記されていないことの証明書――の6つ。

 

届け出先は警察なのだが、必要書類の入手先は「県警=①③④」「市役所=⑤」「法務局=⑥」にまたがる。

 

履歴書を警察がくれるとは驚きだ。

 

これはあくまでも「個人事業主の要件」で、法人だとその内容も変わってくるようだ。

また登録手数料も2万円近くかかり、そんなに安い買い物ではない。

 

いざ、手続きへ

 

転売ビジネスには古物商の許認可取得が必須

早速、妻にエスコートを強要され、もよりの県警に足を運ぶ。

 

向かった先は生活安全課。

 

防犯、風俗営業、ストーカー行為などを取り締まるこの部署は、私服のお巡りさん?が放つ怒号で活気に満ちていた。

 

受話器を握る人はどこまでも高圧的な態度を貫き、上司と思われる相手と話すときにだけ、借りてきた猫のごとくシュンとしているのがシュールで面白い。

 

「大きな組織はどこも大変ですね」

 

愛想笑いを浮かべながら、僕はカウンター越しに来署の要件を伝え、具体的な手続きの進め方について教えを乞う。

 

「私がやります」と、先輩らしき人を遮って登場した担当者は、若手ながらも少し背伸びしていて、時折「タメ口」を挟んで解説を始めた。

 

そう、国家権力は決して舐められてはいけないのだ。

 

意地悪でちょっと難しい質問をぶつけてみると、目をパチクリさせるのがとても面白い。

 

刹那、妻が肘鉄で僕の脇を小突く。

いわずもがな「あまりからかうと許認可が下りなくなっても困るので、ほどほどにしておけと」いうサインだ。

 

「じゃあ書類を揃えてもってきてください。収入印紙を貼るのは最後ね。許可が降りるのは、1~2か月かかるから」とお巡りさんはぶっきらぼうに言い放つ。

 

「え、え?そんな先になるのですか?」とうろたえる僕と妻。

 

「あれ、そこは調べてなかったの?」と、若い笑顔がはじけた。

 

今度は僕らが目を泳がせる番だった。

 

審査するのは各都道府県の公安委員会だそうだ。

 

何も知らない僕ら。

 

生活を安定させるには、もう少々時間がかかるのかもしれない。

 

次回連載⑫では 失業給付金の3倍返しについてまとめた。