この連載は2017年に脱サラして無職になった僕の歩みをまとめています。この体験談はリアルタイムにまだ追いついていません。
中国人セラーからの脅迫文が届いた翌日、他の出品者からも同様の「脅し」を受けた。
こちらの方がまだ理路整然としたクレームだったのだが、相手の素性を調べていると、また中国系セラーだった。
同様にAmazonのテクニカルサポートに連絡を入れると、むしろ相手の方に「注意喚起する」と頼もしい返事が頂けた。
ひとまず妻も、取り合わない方向で販売を続けることにしたのだが、ここからが、僕たち一家にとっての試練の始まりとなった。
Amazonによる注意喚起はまるで役に立たず、僕のセラーセントラルには、連日のように赤い旗が立った。
ついに、最も恐れていた顧客からのクレームが入り、Amazonから至急対処するよう、通告が届いたのだ。
そして、商品の販売を止められてしまった。
中国人セラーの嫌がらせ Amazonビジネスの穴
Amazonは「カスタマーファースト」という理念のもとに、顧客を全面的に保護する立場をとっており、こうなると、手のひらを反すように、どこまでもセラーに冷たい態度に変わる。
初めてついた評価は「1」。
しかも販売された商品は、返品されているらしい。
アカウントに傷がつきまくると、「カート」の獲得もおぼつかず、最悪の場合は永遠にAmazonでの販売権利をはく奪されてしまうのだ。
「アカウント停止」という、世にも恐ろしい仕打ちだ。
緊張で口が乾く。
恐る恐る、クレームの内容を確かめてみた僕と妻は、その文面に驚愕した。
「違う商品きた。破れていたなぜか。これは人は駄目で、はじめてひどい」
明らかに無茶苦茶な日本語だ。
すぐにピンときた。
中国人セラーの仲間が顧客になりすまし、悪質な嫌がらせを始めたのだ。
「なりすまし客」評価1の攻撃 追い込まれる“脱サラ店舗”
連日のように続く「なりすまし客」からのクレームと返品――。
評価がマイナスにまで下がり、もはや「カート」も獲得できず、売り上げも完全にストップしてしまった。
カスタマーサポートに対応を求めても、「打つ手がない」のが実情だった。
挙句の果てには、「相乗りするから悪い」と言わんばかりにこちらを責める担当者まで出る始末だ。
相乗りは値下げ競争を促す仕組みとして、Amazonが決めたルールであるはずなのに…。
「写真と異なる商品が届いた」というクレームには、いくら状況証拠を示したところで、Amazonからは「罪人扱い」された。
もちろん、違う商品が届いたという事実など一切ないのだが、「こちらの品質管理に問題がある」として、再発防止策まで提出されられる羽目になった。
これに応じねば、アカウント停止措置も辞さないというのだ。
ただある意味で、最初に迎えた試練は、長い目で見ると最高の勉強材料にもなる。
僕は、いきなり最悪の事態に直面したことで、「防衛策の必要性」を痛感することができたのだ。
連日、セラーセントラルとのやり取りを経て、なりすましのクレームを消すことができ、逆に中国人セラ―の仲間と思われる人物のアカウントは抹消された。
Amazon撤退 再び無職に
ところが「違う商品が届いた」というクレームに関しては、いくら資料を提出したところで、最後まで、こちらの言い分が認められることはなかった。
このまま嫌がらせが続けば、本当にアカウントを抹消されてしまう。
一カ月弱で半数以上の商品は売却できたものの、マイナス評価のセラーからモノを購入する酔狂な顧客はいない。
かくして、僕ら一家が希望を託した最初の店舗は、中国人セラーによる悪質な嫌がらせによって、事実上、つぶされてしまったのだ。
僕は精神的に参ってしまった。
防衛策を講じるにも、一人ですべてを行うにも、限界があるのだ。
僕はアカウント停止を食らう前に、一から出直すことにした。
この時ばかりは、さすがの僕もひどく落ち込んだ。