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ジャーナリストから転身 40代妻子持ちが自由に生きてみた

連載④40代妻子持ちが脱サラ生活へ 「詐欺師」になった友達(2)

今回は脱サラした僕の歩みとは関係ありません。印象深い話だったので書くことにしたものです。

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幼馴染が語る、ぶーちょ失踪の真相はこうだ。

 

(詐欺師になった友達1をお読みでない方はこちら

 当時、ぶーちょは高校を中退していた。

そのことを誰にも言わず、劣等感を抱えながら、車の解体業に携わる。

そこで指に大けがをして、仕事ができなくなってしまう。

不憫に思った社長の計らいで、中古車部門の営業職に転身し、それが大成功を収める。

母にマンションを買い与える一方、10歳年下の女性と結婚し、2年前、故郷に錦を飾った――。

 ぶーちょは大人になって、一段と魅力的な男になっていたという。

 

 

不可解な言動に「戦慄」

 

気前がよく、トークにも磨きがかかり、地元の友達連中はみんな彼の虜になった。

もちろん皆、車は彼から購入し、修理や車検もすべて任せた。

 

ところが、時間がたつにつれ、彼の言動に不可解な点が目立つようになり、「ぶーちょフィーバー」もだんだん雲行きが怪しくなる。

 

地元の友達連中の間では「あいつ、本当に信用できるのか」と、ささやかれるようになった。

 

「ゾッとするエピソードもあるんだ」と幼馴染。

 

ぶーちょに車検を依頼した幼馴染の車には、トヨタ純正のナビが搭載されていて、一度通った道を記録する機能が備わっている。

 

車検後、ナビに残された記録を何気なく確認してみると、この間ぶーちょがたどった道が、とてつもなく異様だったというのだ。

 

「ひたすら土手を走り、焼却場に立ち寄った後、山道をぐるぐると当てもなく走り回っていたんだ。何をしていたのかわからないけど、何か捨てる場所を探しているような…

 

「で、その後どうなったの」と肌を粟立たせる僕。

 

「結局、理由は聞けず終いだった。そのあとも親交は続いたんだけど、ぶーちょ、突然行方をくらましたんだ。彼から新しい車を買おうとお金を払ったのに…見事にやられたよ」

 

 

複数の肩書 名刺も数種類

 

後にわかったことらしいが、ぶーちょの車の仕入れ先は、すべて近所の中古車屋さんだった。

 

くだんの中古車屋さんには、自らの職業を「八百屋」と語っていたという。

名刺もあったそうだ。

 

ぶーちょは違う町の異なる詐欺事件で警察に逮捕され、一家は離散した。

 

幼馴染はいう。

「母にプレゼントしたマンションもセールスマンとしての成功も、たぶん全部嘘。見事なまでにやられたが、また会いたい。そのとき、お金もきっと返してくれるんじゃないかな」。

 

心のどこかで僕は、ぶーちょのことを「スネ夫のような存在」と捉えていたが、このとき、実は主導権を握っていたのはぶーちょの方だと悟った。

 

僕の方が、居心地のいいぶーちょの魅力にやられていたのだ。

 

愛されたいがために身につけた嘘で、結局、身を滅ぼしたぶーちょ。

罪を償って、何とか更生してほしい。

 

しかし、どうしても憎めない彼の魅力の源泉は、どこにあったのか。

 

それを確かめるために、僕ももう一度、かつての親友に会ってみたい。

 

連載⑤経営者たちとの再会