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ジャーナリストから転身 40代妻子持ちが自由に生きてみた

連載⑦40代妻子持ちが脱サラ生活へ 【ビックビジネス】への誘い

【プレジデント】になった丘サーファー

ビッグビジネスを称するおかしな誘いに乗るときっとロクなことがない

「売り手市場が存在する」というちょっとした安心感とともに、厳しい世の中への軽い失意を抱く僕。

 

ハローワークからの帰り道、無職の友人から僕のスマホにLINEのメッセージが入った。

 

友人:「飯でもどう?」

僕 :「了解しました。どこで会う?」

 

彼は、僕の自宅とは真逆にある繁華街にいるらしく、どこか適当な居酒屋で会いたいというのだ。

 

「了解。これから向かいます」

 

彼は妻子を持たないアラフォーで、僕よりも身軽な立場。

 

職を転々とするうちに齢40を超えてしまった今も、頑なに「丘サーファー」を続けている。

 

早朝海に出かけるのに、遠方からわざわざ車で迎えに来てくれるような、人のいい奴だ。

 

大飯喰らいで体格がよく、昔、ココ壱番屋に「食べられれば無料」という超特大カレーが存在したのだが、彼はとんかつを上乗せして完食してみせたこともあった。

 

少しイタイ自慢話が大好きで、とても男らしく、お酒も強い。

 

飲めない僕は、極端に薄いハイボールをちびちび口に含ませながら、そんな彼の近況に耳を傾けた。

 

 

無職の大統領 金融商品をあっせん

 

彼はいま、定職には就いていないものの、「プレジデント」というよく分からない肩書で、「金融商品」をあっせんする仕事を手がけているのだという。

 

合コンで盛り上がるテーブル席とは違って、無職の僕らが腰かけるカウンターは、どこか空気がどんよりとしている。

 

2時間ほどたった後、彼のもとに、仕事を紹介してくれたというホスト風の男性「Aさん」という人物から連絡が入り、同じ居酒屋でそのまま合流することに。

 

2人は自分たちのビジネスを熱っぽく語るも、とにかく怪しい印象ばかりが深まり、いくら質問してもピンとくる答えが返ってこない。

 

 

甘美なビッグビジネスの形

 

ただ上手にやればお金持ちになれる商売らしく、悲壮感を隠し切れないプレジデントに対し、Aさんは毎晩銀座のキャバクラに通い、10万円近いお金を落としていくそうだ。

 

これも詳細はまったく不明だが、「太陽光発電の仲介ビジネス」とやらで大成功を収め、今の地位を築いたという。

 

ウォーターサーバーでも一山当てた」

「一部上場企業の役員ともつながりがある」

「もっとデカいビジネスを今度立ち上げる」

 

場末の居酒屋に咲く成功譚に、僕は「すごいですね!」とAさんを持ち上げてみたものの、正直、そんな世界にまったく興味がない。

 

割り勘で居酒屋を後にする3人。

 

僕の道探しは、また振り出しに戻った。

 

次回連載⑧ではご「近所の目」についてまとめた。