このまま進むべきか、戻るべきか――。
再び人生の分岐点に立つ僕。
当時の僕は「脱サラ」してからロクなことがなく、将来への展望もなかなか開けずにいた。
たった数か月で何とかなるというほど甘くはないのだろうが、とっかかりすらないのは致命的だ。
強がってみたところで、やはり怖いものは怖いのだ。
そんな弱気な心に、手放したはずの「安定への渇望」「将来への不安」が忍び寄る。
給料、
なんという甘美な響きなのだろうか!
脱サラ生活再び岐路に 飲まれる思考
不安にあおられる格好で、とりとめもない思考がぐるぐるループする。
「謝って会社に戻してもらおう」
「子どもの将来が一番大切」
「奥さんへの負担も大きい」
「ドロドロは二度とごめんだ」
「40代で脱サラなんて無茶苦茶過ぎた」
「愚痴で終わる一生のどこがおもしろいのだ」
「妻の両親は喜ぶ」
「どちらが挫折で、どちらが英断なのか」
「自分は何のために生きているのか」
人は不安にのまれると、まともな判断ができなくなるものだ。
実はそれが「サラリーマン思考」の正体だと、あとで気がついた。
サラリーマンを縛り付ける力の源は、やはり「不安」なのだ。
再出発への決意
心が生み出す過剰な心配、余計な不安。
僕は「核シェルター」に閉じこもって一生を終える気なのか。
ただ、この状況で公平な判断などできるはずもなかった。
そもそも、何も始まっていないのだ。
「ひとまず、やれることやる」
「とにかく、もがいてみる」
連載⑯へ