プーログ

ジャーナリストから転身 40代妻子持ちが自由に生きてみた

無職父と小学生姉弟【親子空手】奇襲の「奥義」で下剋上!王者相手にまさかの展開⁉

f:id:ueaki:20211220142943j:plain

こんにちは。

 

プーです。

 

プーログ再開以降、親子空手の話題をお届けしております。

 

今回は、娘と王者の初対決のもようをまとめました。

 

ずっと「強い相手」を探し求めてきた娘ですが、彼女の空手は全国を制したチャンピオンに通用するのでしょうか。

 

ではご覧ください。

 

前回までのあらすじ

父をサンドバッグにした打撃練習やスポーツトレーナーが開発した珍器具「BMM」での反射神経強化、杭の上に立って技を繰り出すバランス訓練など、毎晩厳しい稽古に明け暮れるプー姉弟

空手経験のない無職の父指導のもと、メキメキと実力を付け、わずか4カ月で同門の初心者のなかでは無敵を誇る強さに

そしてついに娘は、王者との力試しの日を迎えた。

マンガのような修行に明け暮れた娘の実力やいかに。

連載の初回はこちら プーログ2年ぶり再開|親子で空手に半年没頭|試合の結末は? - プーログ

姉の実力

f:id:ueaki:20211129124931j:plain

選手クラスが集う夏季特別稽古のなかに交じって、本格的な組手に挑戦する愛娘。

 

「エンジョイクラス」からきた末席とはいえ、日々の厳しい稽古は伊達ではない

 

格上を相手に、娘は互角以上の戦いをみせている。

 

とくに地獄ミットで鍛えた蹴りは、選手クラスの相手にも通用することがわかった。⇒地獄ミットの詳細をまとめた回はこちら。

 

試合運びの巧みさやスピード感などは見劣りするものの、重い蹴りを警戒し、間合いを詰められずにいる子もいた。

 

そして、(2分×16本でワンセットとなる)組手稽古の開始から半時間――。

 

ワンセット目の組手は最後の一本となり、娘の向こう側についに小4の王者が立った。

 

互いの思惑

f:id:ueaki:20211220142459j:plain

全国を制した経験もある小4の王者からみれば、娘は「エンジョイクラス」からきた格下の相手に過ぎない。

 

ひとつ年上とはいえ、帯の色はオレンジ帯で、試合経験すらない相手だ。

 

空手の世界では5年以上も下の後輩になる。

 

当然、練習相手になってもらうのではなく「少し手加減し、練習相手になってあげる」と考えるのが、ごく自然だろう。

 

 

ひるがえって娘からすれば、小4茶帯女子との組手は特別な重い意味を持つ

 

3つ下の弟との組手は手加減せねばならず、最近、ずっと強い相手を求めていたのだ。

 

いま向き合うのは一切手加減しなくていい相手であり、全力を出すことができる。

 

 

つまり、茶帯王者からすれば練習のひとつに過ぎない組手でも、娘にとっては自分の力を試すまたとないチャンスだったのだ

 

強襲

f:id:ueaki:20211220142043j:plain

親子といのは不思議なものだ。

 

僕は娘が何を考えているのか、その立ち姿をみただけでわかった。

 

興奮に鳥肌が立った。

 

娘は練習の成果を「最初の一撃」に込めるつもりだ

 

 

王者も「初心者の上段蹴りほどノロマなものはない」などと高をくくっているに違いない。

 

とくに油断している相手への「変則型」となれば、たとえチャンピオンであれ、奇襲が成功する公算はさらに大きいはずだ。

 

 

娘はステップワークではなく「歩行に近いモーション」で間合いを詰め、時計と反対まわりに腰をひねる。

 

もはや間違いない。

 

王者が胸元にガードを固めてステップインしてきたところで、呼吸を爆発させ、腰から背中にかけて溜めた力を一気に解放した

 

「シッ!」

 

刹那(せつな)、真下からほぼ直線軌道で跳ね上がった右足が、王者の顔面に迫った。

 

「バチン!」

 

娘が放った奇襲の「逆雷」(さかいかづち)が、チャンピオンの左頬を捉えた。

 

え?

 

王者はバックステップでいったん距離を置き、いま自分の身に起きたことを整理し、苦笑いした。

 

現実の壁

f:id:ueaki:20211220143934j:plain

マンガのような展開は「最初の奇襲」までだった。

 

茶帯女子の強さはやはり「別格」で、壁の分厚さを思い知らされた。

 

娘の蹴りはミートする手前でことごとく押さえられ、逆に王者は斜め45度から強烈なストマックブローを突き立ててくる。

 

段々、腕でガードするのが精一杯になり、腰が引けていく娘。

 

とくに「初見の技」は、反応すらできずにいる。

 

通常の回し蹴りとは逆の方向から顔の側面に蹴りを浴びせる「内回し蹴り」や、間合いの外から伸びる「上段前蹴り」などをもらうたびに、ヘッドガードが大きくずれた。

 

何とか反撃に出ようと食らいつく娘の攻撃は「ツーテンポ」ほど遅れていて、空を切るばかりだ。

 

 

結果して、娘は年下のチャンピオンに圧倒され続けた

 

娘の感想

見せ場といえたのは、最初に当てた変則型の上段蹴りと、途中、突きに合わせて打ったカウンターの左フックぐらいのものだ。

 

 

そんな防戦一方の展開に、ひょっとして、娘は落ち込んでいるのではないだろうか。

 

帰り際、娘に感想を聞いてみた。

 

 

父:「ねえ、茶帯の子と戦ってどうだった。あの子、有名なチャンピオンでしょ?」

 

娘:「滅茶苦茶強かった。でも『強いね』って言ってもらえたぁ~

 

娘は年下の強敵に負けた悔しさは微塵も感じておらず、むしろ褒められたことがうれしかったようだ。

 

師範を乗せたメルセデスが視界を過ぎていく。

 

僕は親バカを爆発させ、少し嫌がる娘を抱きしめた。

 

連載の初回はこちらプーログ2年ぶり再開|親子で空手に半年没頭|試合の結末は? - プーログ