こんにちは。
プーです。
明けましておめでとうございます。
長らくお休みしてしまい、本当にすみませんでした。
ありがたいことに厳しいお叱りの声も頂きました。
正月ボケがようやく治まり、ブログ再始動への体勢が整った次第です。
さて、年末から正月にかけての間、字にするべきことがたくさんありました。
「小5のカップル」が続出している現実、子どもの飛躍的な成長、親戚の借金問題等々…。
ただ、やはりトーナメントの出場結果をはっきりさせるまで「親子空手編」を連載形式で書こうと思います。
というわけで今回は、小5の娘が「合同組手稽古会」でさまざまな流派と腕比べをしたときの話についてまとめました。
ついに「拳法VS空手」の対決が実現し、父指導の下でガラパゴス的な進化を遂げる娘の実力が明らかになります。
ではご覧ください。
父をサンドバッグにした打撃練習やプロトレーナー開発の珍器具「BMM」を用いた反射神経強化、杭の上でのバランス訓練など「スポ根漫画」のような稽古に明け暮れるプー姉弟。
空手経験のない無職の父指導のもと、メキメキと実力を付け、わずか4カ月で同門の初心者のなかでは無敵を誇る強さに。
夏季特別稽古での王者との一戦をへて、さらなる高みを目指すなか、今度は「他流試合」に挑む。
そこで初めて、父は娘の実力を目の当たりにするのであった。
連載の初回はこちら⇒ プーログ2年ぶり再開|親子で空手に半年没頭|試合の結末は? - プーログ
合同組手稽古会 初心の女子は1人だけ

無職の父指導のもと、この5カ月で急成長を遂げた娘であったが、他流派との手合わせは初めての経験だ。
合同組手稽古会では、弟の回と同様(前回参照)、初心者と中・上級者に分けられた。
小5ともなると参加者は試合経験者ばかりで、初心者は10人に満たない。
しかも組手は「男女混合」で、初心者の枠に組み入れられた女子は娘1人だけだった。
流派ごとに帯の色による強さの意味は異なるため、一概には言えないが、少なくとも娘の格下となる白帯は1人しかおらず、練習相手はほぼ全員上帯だ。
各々の動きをみても、組手の経験をそれなりに積んでいる子どもばかりの印象だった。
拳法の子

対戦者のなかでも、とりわけ気になったのは「拳法の子」だ。
黒地のアンダーシャツに直接防具をつけた異様ないでたちで、腰に巻く帯も強いのか弱いのかよくわからない「紺色」をつけている。
グローブや脛当て(すねあて)も、空手とは少し仕様が異なっているように見えた。
あくまでもパッとみた印象だが、まるで「ベスト・キッド」に出てくるコブラ会の選手のようだ。
血は争えぬもので、息子も「あの人、ジョニー・ローレンスみたいだね」との感想を口にしていた。
ちなみに「ジョニーローレンス」は、ベスト・キッドの主人公「ダニエル・ラルーソー」のライバルだ。
いま、netflixでベスト・キッドの続編「コブラ会」が見られるのだが、お金のないプー一家にそんな余裕はない。
少し話がそれたが、道着ともうひとつ、僕が気になって仕方がなかったのは、彼(以下ジョニー君)の「構え」だった。
膝を曲げぬまま、両足を前後に開き、左手を高々と前に突き出して相手を威嚇している。
あまり合理的とはいえないこの構えに、かつて出会った達人の臭いがするのは、気のせいだろうか。
参照⇒小学生と無職父の「親子空手」謎の老人現る!達人か?震撼の昔話も - プーログ
いずれにしても、きっと「拳法最強」の誇りを胸に、ちびっ子空手家の巣窟に乗り込んできたのだろう。
娘の空手も我流に近く、オーソドックスなスタイルとは少し異なるのだが、そんな両者の対決のゆくえは気になるところだ。
ジョニー君の実力

初心者枠に組み入れられたジョニー君だったが、なぜか一人だけ黒帯の大人を相手に戦っていた。
最初は「道場破りに対する空手側の大人げない制裁」を疑ったのだが、冷静に考えてそれはない。
初心者の数が「奇数」だったため、立会人の黒帯を急きょ組手の相手に当てがった形だ。
さて、ジョニー君の実力はいかなるものか。
下段蹴りを軽快に打ち込む動きは悪くない。
30本という組手の本数を意識してか、力を温存しながら戦っている様子だ。
だが、これがジョニー君なりの作戦だった。
大人相手に「マススパーリング」(3割以下の軽い力で行う組手)を装うジョニー君だったが、羊の皮を脱ぎ捨てた狼のごとく、動きを一気に加速し、上段蹴りを放った。
戦う準備ができていない相手への不意打ちは、実はかけ離れた実力差を埋めるくらい効果のある戦術だ。
力道山にしてやられた史上最強の柔道家「木村正彦」しかり、シバターにはめられたキックボクサーの久保優太しかり。
娘が年下のチャンピオンに放った変則型の上段蹴りも、奇襲だった。
参照⇒無職父と小学生姉弟【親子空手】奇襲の「奥義」で下剋上!王者相手にまさかの展開⁉ - プーログ
ジョニー君の踏み込みの速さは伝統派のそれに近く、強襲を受けた黒帯も子ども相手にヒヤッとしたに違いない。
結局、この奇襲は失敗に終わったものの、いい意味でも悪い意味でも、空気を読まないジョニー君の「攻撃的な性格」が強く印象に残った。
続くジョニー君の相手は白帯の男の子だったが、ジョニー君の攻撃は容赦がなく、初心者を横蹴りで吹っ飛ばす一幕もあった。
空手VS拳法
組手稽古の3組目。
ジョニー君と娘が対峙した。
娘の我流空手が勝つか、気性の激しいジョニー君の拳法が勝つか――。
一格闘技ファンとして、とても見ごたえのあるカードだ。
小学生の異種格闘技戦など、そうそうお目にかかれるものではない。
娘と向き合うジョニー君の構えは、先ほどよりも足の開きが大きくなっている。
白帯の子を叩きのめして気を良くしたのか、あるいは、相手が女だと思って舐めているのか。
何だろう、この「イラっ」とくる感じは。
「3本目、はじめ!」
本稽古会を仕切る立会人の代表格の合図で、我流空手と拳法による小学生対決が始まった。
反則からの下段速射
組手は互いに右回りで始まり、娘が様子見を兼ねた中段蹴りで牽制(けんせい)する。
ジョニー君はすかさず娘の蹴りを片手でキャッチしたまま、左横から強烈な下段蹴りを連射した。
1発、2発、3発…。
合同稽古会の説明によると、相手の足を持つ行為は反則だ。
リアルの世界でジョニー・ローレンスをみているようだ。
乱暴に娘の足を振り放し、ふたたび例の構えをみせる。
気のせいか、先ほどよりも突き出す手の角度が一段と大きくなっているように見える。
僕の隣で組手をみていた妻も「イラっ」ときているようだった。
ただ、それ以上に怒りを感じていたのは娘の方だった。
一瞬、肩をダランと下げ、ジョニー君の左サイドに入り込む。
空手を始めて5カ月、実は彼女が組手で本気を出したのは、これが初めてだった。
次回に続く。