こんにちは。
プーです。
今回は、プー親子空手シリーズ第三弾「猛稽古編」です。
入門時の練習風景を中心にまとめていきたいと思います。
発明王の手によるシュールな運動器具も登場しますが、我々親子の取り組み姿勢は真剣そのものです。
ギャラリーの目を気にせず、強くなる一心で稽古に励んできました。
では早速、ご紹介してまいります。
夜な夜な出没する空手親子
「せいっ、せいっ!」。
民家から少し離れた広い公園で、夜ごと激しい空手の稽古に打ち込む子どもの姿。
父が無理して買った真新しい道着に身を包み、一心不乱に正拳を繰り出す小学生の男女2人。
プー家の長女とその弟である。
額に汗する児童2人の一挙手一投足に、師である父の檄(げき)が飛ぶ。
彼が腰に巻いているのは、もちろん「ブラックベルト」だ。
「おい、もっと脇をしめろ!」
「まだ腰が高い!」
「何度言えば分かる、空手は距離だ!」――。
腕組みする師の背中には、戦歴の猛者を彷彿させるオーラが漂う。
眼光も鋭い。
だが実は、彼にはまったく空手の経験がなかった。
着古した道着も、色あせた黒帯も、高校時代に使っていた柔道着である。
稽古のメニュー
冒頭は、読み物風にまとめてみました。
さて、今回のテーマである稽古のメニューですが、ずばり、「空手の雰囲気」を重視したものばかりです。
- ブランコに吊るした水袋を叩く打撃訓練
- 片足で立ち東西南北に向きを変えるバランス訓練
- 素早いステップで倒木を左右にまたぐスピード訓練
- 玩具の銃で飛ばしたスポンジの玉をかわす回避訓練
- 父が妄想の中で編み出した奥義を授ける超ド級一子相伝秘奥義訓練
- その他
理にかなっているかはさておき、ドラマチックな空手への衝動を満たすには、十分な内容です。
空手を始めた当初はアスレチックなどにも出かけ、忍者のような修行も試みました。
そんなスタイルの稽古は子どもの食いつきが良く、師と弟子をロマンの世界に誘います。
ただし、「空手の試合」を想定した場合、また別の練習が必要になるのも事実です。
「精神修養を目的にする以上、格好だけでは駄目」というのが妻の主張で、もっともな意見といえるでしょう。
空手経験のない僕が試合にとっては、そこが一番痛いところです。
フルコンタクト空手の試合をYouTubeで研究したものの、映像だけで練習メニューを決めたり、試合の戦略を組み立てたりするのは、未経験者にとっては至難の業と言わざるを得ません。
実際、半年後に出場したトーナメント試合では、試合に対する中途半端な理解が大きな仇(あだ)になりました。
アドバイザー考案の強化器具
夜な夜な胡散臭い空手修行に打ち込むプー家族ですが、ときどき、スーパーアドバイザーとしてスポーツクラブを運営する友人も参加してくれます。
これまでに、我が子が彼から授かったのは「身体操作」のノウハウと、独自開発の特殊なトレーニング器具「BMM」(バウンディング・メテオ・メット)です。
冒頭の写真が、その実物です。
ヘルメットの頭頂部から乱暴に伸びるゴム紐の先に、柔らかいボールを括りつけたもので、これをリズムよくパンチで打ち返すことで「動体視力を高めることができる」のだとか。
この発明王は単なる変人ではなく、実はとても優秀な(あるスポーツの)指導者で、教え子のなかには世界を舞台に活躍する有名なアスリートに育った子もいます。
ただ、発明王はときどき暴走することがあり、先日も「複数の人形がランダムに稼働するシステムを導入しようと思う」などの相談を受けました。
詳しい聞くと、ベルトコンベヤーでマネキンを動かす仕組みで、ジャッキーチェン主演映画「少林寺木人拳」を彷彿させる大型の訓練装置を想定しているようです。
製作費には、500万円かかるといいます。
しっかり見積もりをとった大まじめな計画ですが、僕は「やめた方が良い」と思ったままを伝えました。
修行から3か月 実力は?
娘の「猫パンチ」と、息子の「サッカーボールキック」が解消されたころ、我が弟子たちはいよいよ「昇級」を意識しはじめました。
練習を始めて3か月、いつまでも「最下級の白帯」ではカッコ悪いというわけです。
子供たちが通う道場の昇級審査は、年2回。
一回5千円✖2もします。
「ブラックベルト」に至るまでには10階級ほどの階段を上らねばならず、500万円の木人拳ほどとはいかぬまでも、恐ろしい金額になります。
「お前たちは帯で空手をするのか」と分かった風な諭し方をしても、ドケチな父の下心はきっと透けて見えています。
昇級審査ともうひとつ、避けて通れないのが件の「試合」です。
約3か月に及ぶ「雰囲気重視の練習」で、子供たちがどれだけ強くなったのかは、この時点で完全に未知数です。
確かに、シュールな空手を通じ、親子でのかけがえのない時間が共有できました。
親子で過ごす時間のなかでも、密度の濃さでいえば、小学生あたりがピークです。
ただ、時間をかけて頑張った分だけ2人が強くなれたかは、ふたを開けてみなければ分かりません。
かくして、帯び色のステップアップをかけた昇級審査は、子供たちの実力を試す実践の初舞台になりました。
そこで父がみたのは、驚きの光景でした。
次回に続く。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。