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ジャーナリストから転身 40代妻子持ちが自由に生きてみた

小学生姉弟の空手道「7段飛ばし」の昇級へ|無職の父自ら人間サンドバックに

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こんにちは。

 

プーです。

 

今回は、プー姉弟の空手入門から3か月後を描いた「昇級審査編」の続きをお届けします。

 

昇級審査まであと1カ月に迫るころ。

 

娘からもたらされた「ある情報」をトリガーに、プー師弟は練習内容を一気に過激化しました。

 

「ある情報」とは何か、そして、過酷な練習内容とはいったいどんなものだったのでしょうか。

 

ではさっそく、みてまいりましょう。

 

黒帯と家計

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覚悟を決めた武士(もののふ)だけが目指す、遠く険しい道のり――。

 

そのゴールに待つのは、いつの時代も眩しい光を放つ「黒帯」だ。

 

緑帯や黄帯など、同じサテン生地でもブラックベルトの風格は段違いだ。

 

有段者にしか許されぬこの帯を一度腰に巻けば、すべての荒くれ者が道をあけ、ひれ伏したとされる民明書房:古代日本にみるブラックベルトの威光より

 

また他の帯よりも香りが良く、値段も若干高いとされる。

 

 

そんなブラックベルトをめぐって、一人の男がある決意の淵に立っていた。

 

此の男、目から殺気に似た鈍い光を放つも、瞳の奥に愛弟子の行く末を案じる優しさを宿している。

 

2人の弟子を抱える空手の達人風未経験者、プーである。

 

色帯が欲しいなら、この1カ月間、お前たちには地獄をくぐってもらう

 

重厚感を出し切れぬ甲高い声で、愛弟子たちに「地獄稽古」の幕開けを宣言するのだった。

 

家計にやさしい「飛び級

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さて、話を本線に復帰させますが、一家の大黒柱であったプーが無計画に会社を辞めてしまったせいで、我が家はいまも貧乏生活を余儀なくされています。

 

後日別記事で明らかにしますが、とくに当時は、妻も経営者から不当な解雇宣告を受けて職を失い、家計は文字通り火の車でした。

 

 

そんな苦しい状況下で、娘が「耳よりの情報」を持ち帰ってきました。

 

それが、審査費用の負担軽減に役立つ「飛び級」という制度の存在です。

 

組手の内容次第では「一息に2段、3段のステップアップが叶う」といいます。

 

吹けば飛ぶような我が家の家計にかんがみて、これを逃さぬ手はありません。

 

人間サンドバックの恐怖

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人の身体にパンチを打つというのは、とても怖いことです。

 

虫も殺せぬ姉弟となると、なおさらです。

 

組手では、まずこれを克服する必要がありました。

 

その具体的な方法として、僕がとったのが「人間サンドバック」です。

 

どこにどう当てれば効果的なのか、また、ひとに打撃を加える感触がいかなるものか。

 

言葉では伝わらないそうした感覚を覚えさせるのも狙いです。

 

 

父:「さあ、お父さんを殴りなさい!」

 

娘:「でも…大丈夫なの?」

 

父:「いいから、お腹を強く打つんだ。さあ、父を超えていけ!」

 

娘:「分かった、じゃあいくよ!シッ!」

 

父:「くっ!」

 

娘:「シッ!」

 

父:「痛っ!」

 

娘の打撃は日を追うごとに「キッス」、「タッチ」、「ノック」、「スパンキング」へと威力を増し、「ハンマーブロー」が打てるてるようになったころ、僕の第五腰椎が悲鳴を上げ、持病のヘルニアが悪化しました

 

 

かくして、父が捨て身の覚悟で臨んだ「人間サンドバック」は、1週間ほどで鳴りを潜めました。

 

が、その後も「前人未到の昇級7段飛ばし」に向けた猛稽古は続きます。

 

明王の異名を持つ友人のトレーナーも特訓に加わり、毎日2時間以上、稽古に明け暮れました。

 

内容としては、前々回紹介した練習メニューに、姉弟での組手やカウンターの取り合い、ミット打ちなどを加えた形。

 

とくに、上段蹴りを左右連続で100本蹴る練習は苛烈を極めます

 

とくに激辛なのが、師である僕からの「駄目出し」で、カウントが1から戻るという無情なルールにしました。

 

あまりのキツさに兄弟そろって涙を流し、ときに獣のような雄たけびをあげながら、Amazonで買った安物のミットを打ち続けました。

 

 

子どもの攻撃とはいえ、毎晩安物のミットで受けていると、こちらも無事では済みません

 

水滴が石に穴を穿つが如く、ダメージは蓄積されるもので、激しい痛みに見舞われた両指は整形外科で「手根管症候群」と診断されました。

 

ヘルニアの影響で、足の親指も痺れっぱなしです。

 

毎晩親子で燃えるような情熱を注いだ空手の稽古。

子供たちはぶっちぎりの飛び級を目指し、父は審査費用の負担軽減を切望しながら、ついに昇級審査の日を迎えました。

 

 

次回「昇級審査編最終回」に続く。