こんにちは。
無職の父、プーです。
プーログを11月に再開して以降、空手経験のない僕の指導の下でプー姉弟がマンガのような猛稽古に打ち込む「親子空手編」をお届けてしております。
白帯からオレンジ帯への昇級までをつづった「昇級審査編」が前回で終了し、今回からは、トーナメント出場に至るまでの道のりを描く「新章」がスタートします(⇒連載初回はこちら)。
昇級審査後プー姉弟は、トーナメント出場に向けて、これまで以上に激しい猛稽古に挑む一方、「出げいこ」や「異種格闘技戦」などにも挑戦します。
またこの間、中二病の父が考案した「逆雷」(さかいかづち)に続く奥義も完成させました。
新章第一回は「いまの実力」(2022年当時)の話題です。
では、ご覧ください。
※リアルタイムではプー親子が空手を始めて7カ月目に突入したところです。
いまの実力
「ここから先の修行は本当に厳しいものになる。地獄空手のはじまりだ。ただ、駆け抜けた修行の日々は親子にとって一生の思い出に…こら、テレビを見ないで。ちゃんとお父さんの話を聞きなさい」
凍らせたヤクルトをチューチュー吸いながら、録画番組のスポンジボブに集中するプー姉弟。
父の話は聞いていない。
テレビの中では、ヒトデを擬人化したスポンジボブの親友「パトリック」が、体中の水分を失って急速にしぼんでいく。
その滑稽な姿に、親子3人そろって爆笑した。
フルコンタクト空手の大会出場まであと2か月――。
「事実は小説より奇なり」という言葉があるが、猛稽古の先に興奮と感動のドラマが待っていることを、このとき誰も予想できなかった。
エンジョイクラスと選手クラス
実戦の初舞台となる昇級審査の組手では、それなりの実力を示した姉弟であったが、トーナメント試合となると、話は少し変わってくる。
フルコンタクト空手を学ぶ子どものなかには、実は試合に出場しない子も多い。
道場の中でも門下生のスタンスははっきりしていて、試合への出場を目指す「選手クラス」と純粋に空手を楽しむ「エンジョイクラス」が曜日・組別に分かれている。
練習内容、空手に向き合う姿勢ともにほとんど真逆だ。
プー姉弟が属するエンジョイ組は、練習中に「ちびっ子の談笑」が聞こえるのに対し、選手組は張り詰めた空気のなかで「ゼイゼイ」「ハアハア」ばかりが目立つ。
とくに週3回以上道場に通う「ゴールド会員」の練習量は凄まじく、選手クラスの中でも事実上、大会の上位入賞を目指す「特練クラス」になっている。
やはりゴールド会員は皆、おしなべて強い。
ゴールドなのは月謝だけではないわけだ。
少なくとも、稽古の質・量ともに選手クラスの域にまで高めなければ、各流派の精鋭が集う試合で勝ち上がるのは難しい。
急速にしぼむパトリックに爆笑している今のままでは、優勝は絶望的だ。
残り2か月、進化は必須
子どもにとって「2か月」という期間は夏休みよりも長く、成長を促す時間的なゆとりも十分だ。
とくに、かつてない「新鮮な経験」は大きな糧になる。
ときに漫画やゲームの世界にみられる「覚醒」「クラスチェンジ」「合体」に匹敵するほどの、急激なバージョンアップがみられることもある。
とはいえ、子どものフルコンタクト空手の試合にあって、圧倒的に有利なのは「体格」とともに「経験年数の差」だ。
空手の経験が浅く、試合のルール(判定の基準)さえはっきりと分かっていないプー姉弟は、試合で明らかに不利といえる。
つまりこの2か月で、「経験の差」をカバーするだけの実力を付けねばらならない。
かくして、トーナメントに向けた稽古は過酷を極め、「出げいこ」や「異種格闘技戦」、「滝行」などあらぬ方向に発展していくのだった。
次回に続く。
最後までお読みいただきありがとうございました。
初めての方はぜひ初回から読んでみてください。
(⇒連載初回はこちら)。