こんにちは。
プーです。
早いもので、連載を再開してから1カ月ほど経ちました。
以降、親子空手の話題をお届けしていますが、今回は娘が初めて「強敵」と戦った時の話をまとめました。
相手は年下ですが、全国大会でチャンピオンになった経験のある女の子です。
毎日激しい稽古を積む娘と王者との一戦は、胸が高鳴りました。
技とスピードで娘を凌駕する王者の圧勝か、体格差と勢いで勝る娘にも勝機はあるのか――。
その模様をご覧ください。
※もし初めてお読みになる方は、よろしければ最初から読んでみてください。
全部で12~13本程度です。
連載の初回はこちら⇒プーログ2年ぶり再開|親子で空手に半年没頭|試合の結末は? - プーログ
同年代の強者求めて
無職の父指導の下、4カ月ほど「スポ根漫画」のような特訓を重ね、メキメキと強くなったプー姉弟。
娘の蹴りは父の腰痛を悪化させるほど威力を増し、息子も昇級審査で異様な強さをみせた。
ただ2人とも、同学年の強い相手と本気で戦ったことがない。
親子空手は組手の相手が姉弟に限られるからだ。
週に一度通う道場の「エンジョイクラス」にも、強い相手はいない。
トーナメント出場まであと2か月足らず――。
焦るプーファミリーのもとに、(選手としての)姉弟の実力を知るチャンスが巡ってきた。
それこそが「お代官様への直訴」のごとく父が師範にお願いした、夏季特別稽古である。
邪魔な先客
新型ウィルス防止の関係で、保護者による特別稽古の見学は許されなかった。
そこで僕は、稽古の様子を外からこっそり覗き見ようとしたのだが、練習の模様をビデオ録画する先客があった。
「この場所は誰にも譲らない」といわんばかりに、この御仁、ハンディーカムを構えたまま僕と目をあわさずにいる。
車線減少の合流地点で、割り込みを許さない人と同じ「いやらしい目」だ。
仕方がないので、僕はこの男性の背中に隠れるようにして、稽古を盗み見ることにした。
つわもの揃い
夏季特別稽古に集まった少年(少女)部のメンバーは、試合経験のある子ばかりだ。
青や黄色の帯を締める強者(つわもの)が集うなか、オレンジ帯を締めるプー姉弟は、「エンジョイクラス代表」として末席に加えてもらった格好だ。
稽古のレベルもエンジョイクラスのそれとは違い、いつもなら20回をノルマとする腹筋も、特別稽古では「1分間」という単位に変えて、競争心をあおっていた。
ほかにも、ミット打ちや受けの練習などもあったが、私語はもちろん、笑顔もない。
総当たりの組手
告知通り、特別稽古では組手に多くの時間を割いた。
対戦が終わるごとに一人ずつ横にスライドし、相手を変えていく「総当たり」の形式で行われた。
そのため、体格差や年齢差などは考慮されず、向き合った相手と機械的に戦う形になっていた。
メンバーの中で最年少となる息子は、ほとんどの相手が手加減をしてくれた。
まあ、当然と言えば当然だ。
どんなスポーツであれ、小学生にとって「学年の差」は大きなハンデになる。
とくに空手の場合、学年が1年違うだけで打撃の重さは著しく変わり、この差を埋めるには「相応の実力差」が必要になる。
大抵の場合、2学年以上離れているとまともな勝負にならない。
そんななかで異彩を放っていたのが、くだんの茶帯の少女だった。
小3のチャンピオン
全国大会での優勝経験もある「道場のエース」で、身体は娘より一回り小さく、年は1つ下の小学3年生。
体重差のある年上であろうが、男子だろうが、相手を一切寄せ付けない強さを見せていた。
強さというより、上手さといった方が正確かもしれない。
まわりの子と比べ、スピード感もギア2段分ほど違う。
後退のスイッチを切ったような「姿勢」にも秘密があるようで、この日彼女が劣勢に立たされることは一度もなかった。
「娘はこの子とどんな戦い方をするのだろう」
全国大会優勝経験のある茶帯女子と、毎夜稽古に励む初心で年上の娘――。
そんな両極に立つ女の子同士の組手が、特別稽古のメーンイベントになった。
次回に続く。